落語,お能カテゴリ 9ページ目


夢は五臓の疲れ

今年はじめての落語会は「志ら乃大作戦 第八話」。内幸町ホールにて。

「ねずみ穴」という噺は人情噺だったけど、そこまで盛り上がりどころがあるわけでもないような。笑いどころも少なめだし、なかなか渋めの噺だと思った。志ら乃さん、チャレンジしてる!と生意気ながら感じた。

それにしても、ねずみ穴の壮大な夢オチぶりにはまいった。たった三文からコツコツ稼いでなんとか商売成り立たせて、立派な蔵まで持つようになったのに、番頭がその蔵のねずみ穴を塞ぎ忘れたせいで火事で燃えたって!それで、娘のはなちゃんは自分で吉原に身売りを申し出るだなんて!で、はなちゃん売ったお金を帰り道で盗られるって!そんなあ!!と思ったら、火事以降の話はすべて…!

オチの「夢は土蔵の疲れ」という意味が分からなかったので調べた。「夢は五臓の疲れ」ということわざの五臓に土蔵をかけているとのこと。駄洒落なのね。

次回の大作戦チケットも買った。どんな演目なのかな。楽しみだな。

帰りの電車の中で「ちょっと訳あってマザー牧場に行きたいねん。もう一人でも行こうと思う」と友達に話したら、「車だすよ。一緒に行こうよ」と言ってくれて涙がちょちょ切れた。ああ嬉しい!ありがとう!そして、地元の喫茶店で急きょプチ森見會。よいしょされる立場におけるタモさんと小倉さんの決定的な違いについて熱く語った。笑った。

志ら乃大作戦 第8話
「初天神」    立川らく兵
「寄合酒」    立川志ら乃
「崇徳院」    立川志ら乃
「ねずみ穴」   立川志ら乃

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邯鄲の夢

お能観賞「能楽現在形 劇場版@世田谷」は世田谷パブリックシアターにて。

あいかわらず勉強不足でお話の内容、背景などほとんど知らずに観賞です…。お勉強はぼちぼちでね、いいかなと。

半能「高砂」八段之舞。半能というのは「能楽において付祝言のために、一曲の能を後場に焦点をあて、前場を大幅に略して演じる形態」ということでいきなり華やかで凄い勢いなもんだから、一瞬で私の心に火が付いた。

その後も、シテの舞いもお囃子もとどまることを知らず盛り上がる。最後はお囃子の「いよ~っ パン」でビシッと締め。うわーかっこいい!やばい鳥肌やばい!所作の美しさ、グイグイくるグルーブ、神秘的で独特の空気感、心奪われるポイントが多すぎて大変だった。ああ、高砂最高。

次は、能「邯鄲」。栄枯盛衰の極めてはかないことをたとえた「邯鄲の夢」という言葉の原典となるお話なんだそう。

目的も夢も見いだせずに日々を過ごす青年が旅に出て、とあるお宿に泊まった。お宿の女主人が粟のご飯の炊き上がるまで「この枕でお眠りください」と邯鄲の枕を渡す。その枕で眠った青年は、夢の中で帝の地位を譲られ、栄耀栄華の毎日を過ごす。そんなこんなで50年が過ぎる。夢の中で。でも、現実の世界ではちょうどご飯が炊けるくらいの時間しか経っていない。女主人が「粟のご飯が炊けたよ」と起こす。そこで青年は「栄耀栄華もなにごともひとときの夢だ」と悟り、女主人に「また来てね」と見送られ故郷に帰る。

そんなお話。なんか「夢も希望もございません。現実そんなものなのです」と言われたような感じがしたけど、そういうことじゃなくて、「欲にかられちゃいけないよ」「現実に文句ばかり言ってても何も変わらないよ」ということなんでしょうかね?(↓にちょっと追記)

能楽現在形ということで、ライティングや舞台セットも工夫されていて、すごく面白かった。

能楽現在形 劇場版@世田谷
半能 「高砂」
能  「邯鄲」

【追記】
『「欲にかられちゃいけないよ」「現実に文句ばかり言ってても何も変わらないよ」ということなんでしょうかね?』と書いたけれどなんか足りない感じ。うーんと、贅沢極まりない煌びやかな人生も、そこそこ生活できるくらいの慎ましやかな人生も、過ぎてしまえば同じこと。ふむふむ。「縁あって今携わってる仕事を一生懸命やって、今の自分に合った愉しみを見つけていこうよ」と、そう思った。

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見守らせていただきます

「立川志ら乃真打ち昇進大作戦 立川志らく師匠を納得させる会」に行った。

もうほぼ真打ち昇進間違えないのであろうと勝手に想像していた。どんなふうにその瞬間を迎えるのかな。拍手喝采、湧き上がる歓声、涙々の感動のシーンを思い浮かべていたのだが…。結果はなんと、真打ち見送り。この真打ち昇進トライアルは、まったくのガチンコ勝負だったんだなあ。

見送りの理由は志らく師匠から詳細に語られた。ほんとに具体的に。真打ちに向けて懸命に落語をし、その直後に高座で、何百人ものお客さんの前で、師匠にダメ出しされ、真打ちはまだと言われた志ら乃さん。それはもういかほどの打撃かと。志ら乃さん茫然とされていた。私も茫然としてしまった。

志らく師匠の真打ち見送りの説明はよーく分かった。芸の厳しさを思い知った。最初は、なんでそんなことをお客さんの前で言うんですか!と軽く怒りさえ覚えたが、それは志ら乃さんだけでなく、お客さんも納得させるための説明であったのだろうと思った。

これは闘いだなぁ。人生の大一番。見送りが続けばハードルもどんどん上がるわけで。ああ、すごい世界を垣間見てしまった。芸の裏側ではこんなやり取りが為されてるんだ。

今、志ら乃さんはどんな気持ちでいるのかしら。どんな気持ちで2009年を終えるのかしら。もう、真打ちにならなくてもいいんじゃない?好きな落語を好きようにやってゆけば、とか思ってしまうけど、師匠に認められないと落語をやる意味はないのだろうなぁと思う。すごい世界だ。

落語の世界をほとんど知らないにわか落語ファンな私が、今回真打ち昇進が見送りになったことを、あれこれ私見私情交えて書くのはどうなのかとも思ったけど、やっぱり書くことにした。心にずっしりきたから。

これからの落語の聞き方が変わりそうだ。芸をものにしようと精進を重ねる噺家さんの努力を汲み取ろうとしてしまうかも。でも、それは違うんだろうな。私はもっと純粋に落語の世界に没頭すればいいんだろう。

志ら乃さんが今後上がりに上がったハードルをどんなふうに飛び越えるのか見守りたい、見守らねばならぬ!とガチガチに硬い意思を固めた。

会場で来年2月の独演会のチケットを買った。どんな志ら乃さんと会えるのか楽しみ。

立川志ら乃真打ち昇進大作戦
だくだく      立川志ら乃
黄金餅       立川志らく
子別れ(通し)   立川志ら乃

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待ちに待った薪能

浅草散策に薪能と盛りだくさんだった一日。メモ的に書いておこう。

R0014670.jpg
浅草はかっぱ橋道具街まで足を延ばす。ニイミのおじさんのジャンボ像がお出迎え。やっぱり写真を撮ってしまう。

かっぱ橋道具街は第26回道具祭り開催中で大賑わい。お安くなった商品が並ぶ店々にいちいち入りたかったが、時間が限られていたのでサクサクと歩く。千鳥の焼印が相当欲しかったけど、5、6千円もするみたいで買えなかった。最近、お弁当を作っているので卵焼きに焼印しよかと思ったのに。それに包丁も欲しくなったなあ。いずれ、この先ずっと使えるような本気の包丁を買いに行こう。

R0014680.jpgそして、前から行ってみたいと思っていた食品サンプルグッズ専門店「まいづる」に到着。ここだけ観光客で溢れてる。
ショーウィンドウに並ぶ食品サンプルたちは、どれもこれもようでけとる!焦げ目、照り、皺などなど、じつに美味しそう。食品サンプルのミニチュアアイテムもたくさん並んでる。ストラップやマグネットなどなど。焼き鳥、お寿司、天ぷら…、残念ながらオクラはなかった。
合羽橋交差点を折れ、浅草寺方面へ移動。移動中、焼き鳥、ホタテの串焼き、ゴーフレット、最中アイスをつまみぐい。写真は薬局の店頭にあったかっぱ。

R0014745.jpg「東京蛍堂」というアンティークショップで大正ロマンな時代にタイムトリップ。店内の作りも地下あり中2階ありでわくわくする。
「楓」でだんごー。うんまー。だんごー。
久しぶりに「浅草の不思議な雑貨屋『ゑびす堂』」へ。店主の林さんとおしゃべり。「ゑびす堂通信」をいただこうかしらと思ったら200円で売られていた。最近は連載を書いてらっしゃるということで、連載の始まった6月号から買っちゃった。読むのが楽しみ。
仲見世のお店で招き猫とだるまゲットしたところで時間切れ。新宿へ移動。

いよいよ薪能だ。会場となる御苑のイギリス風景式庭園には椅子がずらーっ。3000以上もの客席があるらしい。そんな中で私たちの席はなんと前から4列目!しかもほぼセンター!お能初心者ですのになんだか申し訳ない気持ちも少々。

まずは狂言「業平餅」。傘持ちさんのボケに「やいやいやいー」とつっこむ業平さんに笑った。おなかの減った業平さん。餅屋の餅が食べたくてたまらないが、高貴な身分だからお金を持っておらず、ちょっとした小話をしたり、餅がらみの謡を謡ったりして、なんとかお餅を食べようとがんばる。その餅の食べたさったらよっぽどなのね~と笑ってしまった。相手が業平だと知った餅屋は、娘を奉公に出したいと呼びに行く。その隙に餅をたらふく食う業平さん。さらに若い娘までいただけるとあってムフフのところが、その娘が醜い娘で業平さん逃げ回る、というようなお話。初心者の私でも楽しめた。

15分休憩。薪で暖をとるお客様たち。

R0014757.jpgお能は「葵上」。まずは後見が一枚の小袖(きれいな水色だった)を舞台の前方に丁寧に寝かせる。これが物の怪にとりつかれ臥せっている葵上とのこと。なんと効果的な演出。
巫女が物の怪の正体を明らかにしようと唱える。現れたのは六条御息所の御霊。六条御息所の気持ちが謡われている模様だが、何を言っているのか分からん…。ただ、「恨めしい」という言葉だけは聞き取れた。何度も「恨めしい」「恨めしい」と。とても苦しそう。しばらくして、六条御息所がスッと立ち上がって寝ている葵上に扇子をびしっと叩き付ける。ドキン!そこで御息所は一旦退場。

再び出てきた六条御息所は般若のお面になっている。祈り伏せようとする小聖との対決開始。お囃子もどんどんヒートアップ。うおー、私のテンションもすごいことになってます!般若の面の御息所は動いていないときでも物凄い緊張感が漂っている。般若の面はそりゃもう怖い表情だが、悲しみやら怒りやら、どうしようもない感情がにじみ出ているのが感じ取れた。そして、最後には六条御息所は祈り伏せられ成仏。

お能の極限までそぎ落とされた演出というのは何かを感じ取ろうとすごく集中するし、こうなのかな、ああなのかなと想像力をかきたてられる。前回、初めてお能を見たときはお囃子のグルーヴにもう夢中だったけど、今回はまた違った楽しみ方ができたみたい。少しずつでもお能について知っていきたい。それにしても、御苑の森の中でお能というのは神秘的だったなあ。

↓あとで読もう
http://homepage1.nifty.com/WAKOGENJI/nohgaku/noh-aoi.html

第25回新宿御苑 森の薪能
狂言「業平餅」
「葵上」古式

書きながら、内容充実盛りだくさんな1日だったなあ!と改めて。
楽しかった!(お疲れ様&ありがとうでした!)

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かみなりごろごろかいかん

内幸町ホールにて「志ら乃大作戦 第七話」。

会場ほぼ満員。ちょっと遅刻してしまい、らく兵さんは聞けなかった。残念。八五郎出世は泣いて笑っていい噺だなあ。いろんな落語家さんのいろんなバージョンを聞いてみたい。

帰り道のはなし。この日もらったチラシの中に「会場:雷5656会館」と書かれたのがあった。雷5656会館?はて、なんて読むんやろう…。咄嗟には思いつかなかった私に対し、全く知らなかったのにチラシを見せた瞬間に「かみなりごろごろかいかん」とスッと読めたお友達。なんだか神がかっていてすごかった…!あとは、タモさん話。

突然なんですが、もう何年も前から空耳アワーに応募したいと思ってる曲があるんですよ。ブラジルの曲なんですけど。ほんとにバッチリそう聞こえるんです。歌ってるテンションもその空耳語にピッタリだし、私的には面白いと思うんですね。でも、空耳部分があまりにも短くて…。一発ネタとしていけるか?とも思うんですけど、こうVTR頼りになっちゃいそうな気がして。踏ん切りがつかないまま、幾年もの月日が流れすぎてゆき…。
でも、昨日思ったんです。タモリ倶楽部だっていつか終わりがくるのだろうと。始まったものはいつか終わるのだから。いややー、何もせぬまま終わるだなんてー。というわけで、空耳応募プロジェクトひそかに始動。

志ら乃大作戦 第七話
道具や       立川らく兵
元犬        立川志ら乃
八五郎出世    立川志ら乃
ドラゴンクエスト  立川志ら乃

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大混雑と後頭部と案山子

本日の予定。現代美術館にて「メアリー・ブレア展」鑑賞。その後、深川辺りを散歩しつつ写真。夕方、御徒町に移動して、お友達と「志らく一門会」。

メアリー・ブレア展は1時間半あれば大丈夫だろうから、そのあとゆっくり散歩できるなあ。深川、じっくり歩こうと思いつつ実現できていなかったから楽しみ~と、悠長に夢見ていたら飛んでもなかった!!メアリー・ブレア展、ひいてはディズニー!恐るべし!!

チケット買うのに30分!入場するのに30分!!図録買うのに30分!!!予定していた1時間半は待ち時間だけで突破しちゃいました…。なんと甘かったことか…。

会場内もえらいことになってました。広いスペースはまだいいけど、ちょっと狭いスペースなんて人だかりで前に進めない。もう作品鑑賞どころでない。いかにしてこの人の塊をすり抜けるか、それだけで頭いっぱい。そんなことなので、すべての作品をゆっくりと楽しむことはできなかった。

それでも、やっぱり原画の力というのはスゴイです。メアリー・ブレアさんのあの独特な色世界に感嘆しっぱなし。色も線も思い切りがよくて、ダークな色味でも暖かい気がした。あー、やっぱり色は楽しいなあ!いろんな場面において、色を組み合わせるときはすごくワクワクする。洋服とか、もっとチャレンジできればいいけどなあ…。
人ごみにパワー吸い取られてフラフラになりながら現代美術館を出たら…。ウソやん!もう日ぃ傾いてるし!

10-04
神々しい空でした

当然のごとく、ゆっくり深川散歩する時間はなく、地下鉄乗り継いで上野広小路に移動。

「志らく一門会」、関取(どすこい)じゃなくて席取り失敗…。見えたり見えなかったりが4対6くらい。しかも、見えたといっても完璧には見えてないんですよ。前の人の頭で見切れてるけど、なんとか演者さんのお体の半分以上が見えたら「見えた」と数えてですよ。

前の人が悪いわけじゃないのは重々承知だけど、忌々しくなってくるんですよね、その頭が。「横髪がぺったんこだったらなあ…」とか、「お兄さん、ちょっとだけ右に小首かしげてみないか?」とか、もう祈るような気持ちで後頭部を見つめてしまう。集中仕切れませんでしたねぇ、これでは。あとで聞いたらお友達も見えにくかったようで…。関取じゃなくて席取りってほんと重要。

それでも!それでも!落語はやっぱり面白いと思う気持ちには変わりなく!まだまだ、どんどこ寄席に通いたい!

志らく一門会
「ガマの油」    立川らく太
「疝気の虫」    立川志らら
「片棒」      立川こしら
「真田小僧」    立川志ら乃
「お化け長屋」   立川志らく

と、いい具合に締まったところで思い出した。もう一つ書いておきたかったこと。
現代美術館に行く途中に通る深川資料館通り商店街がとても味わい深いのです。「第12回かかしコンクール」と銘打って、町のみなさんが作ったかかしが数メートルおきに並んでるんですが、どれもこれもいい感じにゆるくて素晴らしい。

kakashi.jpg
最後の写真、路地に固めて並べられた案山子たちが哀愁オーラを放っていた。一体倒れていたし…。

タオルやペットボトルやビニール袋などなど、身近なもので工夫して作られているが、決して手をかけすぎていないところにグッとくる。そもそも、精巧で出来すぎていたら案山子っぽくないと思うし。適当な感じだけどなんか愛らしいのが案山子だと思う。で、雨、風で少しくたびれてくると、切なさが加わってより愛着がわくんじゃなかろうか。

…。なんでこんなに案山子について語ってるんだろう…。
とにもかくにも。現代美術館に行くなら、その前にぜひ案山子ゆるゆるアートを!いやいや、この案山子目当てで、ぜひ深川資料館通り商店街へ!いつまで飾られているか分からないですけれど。
わー。久しぶりにいっぱい書いた。楽しい。

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落語楽しや

この日は「志ら乃大作戦 第6話」を見に新橋へ。夜の新橋はなんか解き放たれたような、フリーな表情のオジサンだらけでいいなあ。

落語、面白いわ!やっぱり面白い!

落語に出てくる人々はどうしてあんなに”妄想好き”の”あかんたれ”が多いんだろう。もう、愛着沸きすぎる!
オチを聞いたときのあのストンとくる感じもたまらん。「なるほどねえ!」
早く「お、『青菜』か。今年の夏はこれで聞き納めかな」とか、「ちょいと『○○』あたりでほろりとしたいねぇ」とか言えるようになりたいもんだなあ。

縁あって短期間に3回も見ることになった志ら乃さん。こうなったら真打昇進に向けての1票を投じに次回の大作戦も行きますよってに!

帰り道はムギさんとなんやかんやわいわいがやがや。うまい流れで地元の喫茶店で急きょプチ森見會。大生誕祭について盛り上がった。

志ら乃大作戦 第6話
「居酒屋」     立川らく兵
「湯屋番」     立川志ら乃
「抜け雀」     立川志ら乃
「タイタニック」  立川志ら乃

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平(へい)!

落語の話、第2弾。

29日に初めてらくごカフェに行ったとき、31日金曜日の「月亭方正(山崎邦正)十番勝負 その弐」も気になっていた私は、空席がないかお店の方に尋ねてみた。ラッキーなことにわずかに空席ありとのことで、予約して帰ったのだった。

そして当日。いやー、笑った!笑った!方正さんの落語、すごく面白かった!まず、枕がとんでもなく面白い。まあ、「ガキの使い」などであれだけいろんなことをやってきてはるのでネタが強烈。ギリギリ笑える下ネタたっぷし。この日の落語は「貧乏神」。神様にちなんで枕では「笑いの神様が降りてくることがあるんです。芸人3人でロケ行って、神社でおみくじ引いたら、自分だけ『平(へい)』。『平』なんて引いたことありますか?」という話を。テレビで何回も聞いた話やったけど、やっぱりおなかの筋肉引きつるくらいに笑った。

落語「貧乏神」がこれまた聞きやすくて面白かったー。上方落語、大阪弁がやっぱり馴染むなあ。邦正さん、落語に出てくる、こう、情けないけどどこか憎めない人物(この落語では神様だけど)っていうのがピッタリはまるんです。貧乏神さんが甲斐甲斐しく洗濯している様子に愛おしさが爆発した。

この日のゲストは、立川志ら乃さん。先日、柳亭左龍さんの落語会で初めて見て、今回で2回目。初めて聞いたときも「面白い!」と思ったけど、やっぱり面白かった!枕では少々やる気なさげに少々毒の入った話で笑わせて、落語に入るとどんどん加速していってグイグイ噺に引き込んでいく。あのスピード感はクセになる。9月9日の「志ら乃大作戦 第6話」も楽しみ。

月亭方正 十番勝負 その弐
「だくだく」立川志ら乃
「貧乏神」 月亭方正
「祟徳院」 立川志ら乃

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落語づいていきたい

NHKの朝ドラ「ちりとてちん」で落語に興味を持って以来、もんさん主催の落語会など機会があれば落語を見てきた。「できるならもっと足繁く寄席に通いたい。でも、なかなか気軽に行ける場所がない」と気持ちくすぶり続けていた。

そんなとき、仕事帰りに気楽に立ち寄れる寄席を見つけたのです!それは、神保町の「らくごカフェ」!

存在は友達から聞いていて、いつか行ってみようと思っていた。で、ムギさんと一緒に初めて行ってきたのです。いやー、いいです、らくごカフェ!収容人数50人ほどの広さなので、噺家さんの表情も身振り手振りもしっかり見えるし、噺家さんとお客さんの波長が合ったときの一体感がすごい。たまらん。
らくごカフェで落語を大いに楽しんだあとは「さぼうる」でお茶。(飲む人はお酒がいいでしょねー) 夜の「さぼうる」には初めて行った。半地下と中2階があってごちゃっとした構造、オレンジの灯りで照らされた仄明るい店内、そこに所狭しと並べられたワールドワイドな置物たち。洞窟の中の不思議空間に迷い込んだようでワクワクする。

私たちは1階の席に座ったのだが、足下から半地下のお客さんを覗き見するのがやけに楽しかった。ムギさんと「これは覗いちゃうねー」と言いながら、仕事帰りのサラリーマンのおじさんたちが飲んでいるテーブルをチラチラと覗いた。おじさんたち、テーブル上のお料理はすでに空に近い。そろそろお開きなのねと思った瞬間、一人のおじさんがおもむろにビジネスバッグからバナナの房を取り出し、仲間に1本ずつ配りだした。仲間のおじさんたちは何一つ驚くことなく「あ、いつものバナナね」といった感じで受け取ったバナナをむしゃりむしゃりと食べ始めた。3本締めならぬバナナ締め。なかなか味わい深いもんですよ。ほろ酔い加減のおじさんたちが笑い合いながらバナナを食べている光景を上から覗くって。それを見ていたムギさんが「次の森見會にはバナナ持ってくね」と言った。私も近々バナナ締めを体験することになるようだ(笑)。

お店の入り口近くにはオーナーのおじいさまがスタンバイしており、帰り際には「閉店までまだ時間あるよ。帰るの?どこまで?ああ、花火大会もうすぐだね」などと変に馴れ馴れしい感じじゃなくて、サラッと自然な感じで話しかけてくれた。なんだかすっかりいい気分になって店を後にした。

仕事帰りに落語で笑って疲れを吹っ飛ばし、さぼうるで覗き見しながらまったり。黄金コース見つけちゃったな。よーし、落語づいていくぞー。

聞いた落語一覧を作ろうとこれまで聞いた落語を思い出そうとしているのだが、思い出し切れなくてしょぼくれている。チラシ取っておけばよかったなあ。

はち公物語 第二章
「松山鏡」  古今亭志ん八
「あくび指南」古今亭志ん公
「うなぎ屋」 古今亭志ん公
「野ざらし」 古今亭志ん八

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ぃよぉ~~

わたくし今日、なんと「能」を見てまいりました!

お友達が「能みる?チケットあげられるよ?」と持ちかけてくれて、「タダで見られるのなら!」と譲っていただいたのでした。貧乏性や…。
能については全くの無知。とりあえず、行きの電車の中であらすじだけは読んだけど、「寝ちゃったらどうしよう…」と心配していたんでした。で、実際に見始めたらこれが!眠くなるヒマなんて1秒もない!すごく面白かった!

大鼓と笛の音、「ぃよぉ~~」という掛け声、シテ(主人公のことだそう。覚えたので使いたくなった)が舞う足音などが、絶妙に絡み合って織り成される世界。複雑なリズム、音の強弱、緩急ある動作の美しさ。酔いますよ、これは!独特のグルーブにぐでんぐでんに酔いしれましたよ!

パリで初めて能が演じられた時、前衛音楽家たちが「ヤラレタ!」と叫んだそうです。私も全くもって「ヤラレタ!」でした。パリの前衛音楽家と同じ(笑)!

これは楽譜に出来ないアドリブの世界なんだろうなあ。うーん!かっこいい!ああ、なんだか歪んだ楽しみ方をしてきた気も…。

まあ、いっか。でも、ほんとにかっこよかった。大鼓(オオツヅミ)叩いてみたい。しなやかに手をしならせてパーン!と響かせてみたい。

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