愛すべきおじさん

先日、電車の中で愛すべきおじさんに出会いました。年齢はおそらく70から80代、友人と2人で競馬に行った帰りの模様。私は読書中だったのだけど、おじさんの話が耳に入ってから、本そっちのけで夢中になってしまいました。そのおじさん、絶対ウソでしょう!ってことばっかり言うんです。
『女房が恐いからさ、保険金狙ってるからさ、家では布団入っても目はつむらないっぺ』
『字は読めねぇが、数字は読めるっぺ』
『金の計算難しいから、1,000円以上の買い物はしないっぺ』
(でも競馬には行ってるんですよね?)
『釣りの計算もできねぇから、釣りはもらわねぇ』
『おれは冬の海が好きだっぺ。え?泳げる泳げる。鼻つまみながら』
(それは泳げるっていうのかしら?)
こんな調子でウソばっかりついてるんです。愛すべきおじさんです。
さらに愛しさが爆発したのは、窓から見えたイトーヨーカドーに向かって、
『カーーーッ!イトーヨーカドーは何でこんなでっけぇんだ!』
さらに電車は進んで千葉県に突入したら、
『よーし!千葉に入ったーっ!よっしゃよっしゃ。これで大丈夫だっぺ』
もしかしたら、千葉県以外はアウェーだからウソでガードしてるのかもしれない・・・、と思ってちょっと切なくなってみたりしたのでした。
愛すべきおじさんで思い出した。駅から自宅までの道のりに、小さなスナックがいくつか立ち並んでるところがあります。夜遅くに通りかかると、お世辞にも上手とは言えないおじさんの歌がもれ聞こえてきます。どんなに明るい曲を歌っていても、ノリノリで歌えば歌うほど、どうにも哀愁を感じてしまう。「北酒場」とか結構ジンとくる。会社じゃ上司と部下のあいだで板ばさみ、家じゃ年頃の娘に鼻つまみ者にされ、・・・安易すぎるけどそんな想像をしてしまう。あの、スナックからもれ聞こえるカラオケというのは、味わいが深すぎて困ります。「スナックからもれ聞こえてくるカラオケBest」なんていうCDがあったら、案外売れるんじゃないかしら。

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コメント(4)

  • uripo | 2008.04.03 18:56

    先日近所のスナックから
    「ああ~誰にも~ふーるさとがある~」
    って聞こえてきました。女性の声でした。朝、ちりとて見てるんだろうなあと思いました。
    嘘つきオジサンいいねえ。
    目的不明の嘘ってすごいっすね。

  • ayumit | 2008.04.04 0:24

    ああ、きっと見てたんだろうね、ちりとて。
    ちりとて、終わってしまったね・・・。
    一応、次の「瞳」も見てみてるけど、見ても「ちりとて」を思い出してしまうだけで虚しいばかりです。
    嘘つきおじさんには夢中になっちゃいました。
    嘘の内容も「なんでそんな嘘を?」って思ってしまうものばっかりでね。
    いとおしきオジサンでございました。
    uripoさんのコメントで思い出しました。
    iTMSで「ふるさと」を買おうと思ってたんだった!
    これから買いに行ってきます(笑)。

  • ショボ | 2008.04.04 0:40

    素敵なオジサマですね。
    そのスナックは肉屋の並びのですかね。
    あそこの扉が開いてるとついつい食い入るように中を見てしまいます。
    いろいろ妄想してしまい切なくなってしまいます。
    私もいつか行くのでしょうか…

  • ayumit | 2008.04.04 1:11

    そうそう、お肉屋さんの並びです。
    あのへんに漂ってる哀愁、最高ですよね。
    私もたまたまお客さんが出てくるところに出くわしたりすると、ゆーっくり歩いて中を見てしまう。
    ほんと小さいお店ばかりだよねぇ。その小ささがまた良いよね。
    ショボさんも十年、二十年後には、哀愁たっぷりに歌い上げてるかもしれないですね。

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