とてもいい本に出会ってしまいました。射ぬかれました。初めて読んで連続3回読み返して、その後も数回読みました。
主人公はOLの日菜子さん。自分より少し小さいくらいの大きさの鳥たちがうろうろしている街を歩いている。豆腐屋さんの鳥から豆腐を買い、お肉やさんの鳥からコロッケを買って…。記憶を失っている日菜子さんは自分以外鳥ばかりなのにとくにパニックを起こすこともなく、自然にふるまっている。いきなりこんなシュールな展開で始まる。
「え?え?なんで鳥がしゃべってるの?なにが起きてるの?」と不思議でたまらないけどおかまいなしに話しは進み、そのうち鳥に囲まれていることは気にならなくなり話しの展開に夢中になった。それはフジモトマサルさんの絵の力もあると思う。
後半、日菜子さんが鳥の国にいる理由が明かされていくのだが、その明かされ方が素晴らしい。押しつけがましくなく、ごく自然。知らぬうちにジーンとしていた。
絵、文章、ストーリー展開、登場するアイテム(給水塔占いとか)、ミステリー要素などなど、すべてが絶妙なバランスで成り立っていて、私のズバリ好みだった。
いい本に出会えて嬉しい!