2011年02月の記事を集めたページ


うどん一杯つけてえな

ドングリさんと一緒に「浜松町かもめ亭二月公演『喜多八・一之輔の会』」。喜多八師匠と一之輔さんという渋い取り合わせに心待ちにしていた落語会!

かもめ亭では太鼓と出囃子が生演奏なんですね。独特のリズムの太鼓に心踊る。寄席太鼓について少し調べたら、一番太鼓は「どんどんどんと来い、ドンドンドントコイ、金持ってどんと来い」と欲張りに、そして、二番太鼓は「お多福来い来い、お多福来い来い、ステツク天天、ステツク天天」打つんだそう。へえ~!次回はそう聞こえるか注意して聞いてみよう。

まずは、開口一番、立川こはるさん。生き生きとした落語に清々しくなる。キリッとしたとてもいい顔をされているなあ。

一之輔さん、まずは「短命」。マクラで喜多八師匠がいまだ会場に到着していない旨が知らされる。ええーっ!一之輔さんの短命は二回目。前回は八五郎のほうにたくさん笑ったけれど、今回はご隠居さんに笑った。あれやこれやと手を変えて短命の理由を八五郎に伝えようとするのに、なかなか伝わらず、ムキーっとなる様が面白い!時には一人乗りツッコミまでするご隠居さん、最高!とはいえ、やはり最後、八五郎が恐妻に向かって「ごはんよそってぇ~」と甘えるところは何度も見たくなる面白さ!

喜多八師匠けだるく登場。間に合ったのですね。「待ってました!」の掛け声。私、寄席で「待ってました!」って聞いたの初めてかもしれない。盛り上がるなあ!けだるいマクラから「長短」。初聴き。最初、えらいゆっくりしゃべらはるので「一体何事?」と思ったら、超のんびり屋さんと超せっかちさんのお話なんだと分かって合点がいった。喜多八師匠はすごいなあ!途中から、お話の内容はもうどうでもよくて、喜多八師匠演じるその人自身が面白くて面白くて夢中になった。ゆーーーっくり餅食べたり、ゆーーーっくりタバコ吸ったり。お客さんの反応も「クスクスクス」って笑いから徐々に「ワハハハハ」になる感じで面白かった。

一之輔さん、二席目は「明烏」。一之輔さん、悪の権化の源平衛と多助がとても似合う!(褒めてます!)明烏といえば、昨年末に見た映画「昭和の名人」の八代目文楽の甘納豆シーンが印象深く残っていたので、源兵衛が甘納豆食べるくだりで「きたーっ!」と心の中で小さくガッツポーズだった。また聴きたい、一之輔さんの明烏。

喜多八師匠の二席目は「うどんや」。これまた、喜多八師匠の一挙手一投足にもう夢中。見事なる酔っ払いぶりにクスクス笑いが止まらない。最後、かぜっぴきのお客が鍋焼きうどんを食べるところは、空腹の私には地獄だった。「ちょっと私にも一杯つけてえな、うどんや~」。そうそう、喜多八師匠のお顔はシワ加減がとても素敵だと思う。

大満足な落語会だった!喜多八師匠も一之輔さんも、今後もどんどん追いかけたい!やっぱり落語は面白い!

当然の流れでドングリさんと話の合間に「鍋焼きうどんが食べたい、鍋焼きうどんが食べたい」と言いながらの帰路。残念ながら遅くまでやっているうどん屋さんは見つけられず、ラーメンすすった。あー、ラーメン普通にすすってしまったなあ。もっとアツアツの鍋焼きうどん風に食べてみるべきだった!(ね、ドングリさん)

「浜松町かもめ亭二月公演『喜多八・一之輔の会』」
立川こはる 「一目上がり」
春風亭一之輔 「短命」
柳家喜多八 「長短」
春風亭一之輔 「明烏」
柳家喜多八 「うどんや」

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お茶の水落語会

仕事を終えて、もんさん主催の落語会へ。会場である湯島総合センターは、何十年前にタイムトリップしたような郷愁誘う空間だった。古いソファやマッサージ機があるロビーがよかったなあ。写真撮りたかったー。

吉好さんは「新聞記事」。先日、方正さんがかけていた「阿弥陀池」の江戸版だということで、思わず東西聞き比べができて楽しかったー。

もんさんは「たぬさい」。子だぬき可愛いー。サイコロに化けた子だぬきが、加減が分からず、どこまでもコロコロと転がっていくところが大好き。これを書きながら、もし我が家に子だぬきがお礼に来たら?何に化けてもらう?とか想像していたら和んでしまった。

はな平さんは「権助魚」。最後、権助がおみやげの網獲り魚をひとつひとつ調子よく嘘つきながら紹介していくところ、サゲに向けての盛り上がりがすごかった!笑わせてもらいました!

正太郎さんは「宿屋の富」。会場が湯島だということで、このネタをかけたんだそう。富くじの結果が出る日、湯島天神の境内の賑わいぶりが楽しい!いっぱいの人が見えた。昨晩枕元に立った神様と話して「二番くじが当たる」ことになっている男の、当たったらこんなんしようと妄想するくだりが面白かった!結局、二番くじは当たらなかったので妄想は妄想のまま。

今回はもんさんがプロの噺家さんと一緒にやる落語会ということでした。これからもいろんな企画で落語会をやってほしい!

自宅最寄り駅に戻り、ドングリさんとご飯。『俺のちょうずを聴けっ!~四者四様‘手水まわし’の競演~』をお江戸でもやってほしいと真剣に願っている話で盛り上がる。さすがドングリさん、裾野からじわじわ攻める作戦を考えてくれたり。楽しくなるなー。「俺のちょうずを聴けっ!東西手水回し対決 inお江戸」。いいなあ、いいなあ。

「お茶の水落語会」
春風亭吉好 「新聞記事」
如月亭もん 「たぬさい」
林家はな平 「権助魚」
春風亭正太郎 「宿屋の富」

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りんごのふるさとは北国の果て

日曜日、ひっそりさんと別れたあと、世田谷パブリックシアターへ移動。まだかヒロシさんより「チケット譲り受けたんで」とお声かけいただき、「HIBARI 7DAYS」というイベントへ。なんと、エゴラッピンのよっちゃんがゲスト!

「HIBARI 7DAYS」は美空ひばりのトリビュートイベントということで、さまざまな年代、ジャンルのアーティストたちが集結して7日間に渡って開催されるんだそう。私はその3日目を鑑賞。

ああ、素晴らしかった!バック演奏をつとめたソノダバンド(全員が東大出身)のアレンジはめちゃくちゃかっこよかったし、中村中さんの艶めいた歌もよかったし、マイア・バルーさんのハスキーな歌声もはまっていた。でもでも、ここはやはり!よっちゃん!かっこよかった!「津軽のふるさと」切ない。「りんごのふるさとは北国の果て」という歌詞で始まる。なんと印象深い。「むらさきの夜明け」渋い。そして「真っ赤な太陽」はハマりすぎ!しびれました。

美空ひばりさんの映像もたくさん流れた。メドレーの中の「真っ赤な太陽」のブラスアレンジがすごくかっこよくて、テンション上がりきりました。↓こちらの7:25くらいです。

「ドンドコドコドコドコドンドコドコドコドコ(ドラム)
 パーーーパパラパラパーパパラパパッ(ラッパとか)」
イントロ燃えるっ!ひばりちゃん踊るっ!超ファンキー!最後の全体の音が小さくなるところがかっこいい。ベタなのがよい。イベント以来、この動画を見まくっています。

「真っ赤な太陽」は知っていたけれど、「むらさきの夜明け」という曲は知らなかった。えらいかっこいいなあ。この動画(ジャケの静止画ですが)も見まくっています。

「津軽のふるさと」グッとくる。名曲だなあ。

好きなものが増えて嬉しい。お声かけてもらって本当によかった!ありがとうございました!

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いらっしゃいまし!

18日の夜から20日にかけて、大阪よりひっそりさんが遊びにやってきた。思えばとてもお久しぶり。

金曜日の夜はひっそりさんオススメの舞台「千年女優」を観劇。原作は昨年46歳にしてお亡くなりになってしまった今敏さん。ラストエッセイ「さようなら」には心打たれたなあ。

舞台「千年女優」はとても面白かった!時代が行ったり来たりしてコロコロ変わるし、5人の女優さんたちの演じる役もコロコロ変わる。それじゃややこしくてついて行けないんじゃ?と思いきや、その演出がスピード感や躍動感になっていて素晴らしいエンターテイメントだった。だだひとつだけ、主人公千代子の最後の台詞が私的に納得いかないのですよー。ずっと純粋一途な千代子でいてほしかったー。ロマンチックエンジンぶち切られたー。でも、それも含めてエンターテイメントなのかしら。

そんな感想を語り合いながら自宅最寄り駅まで戻り、モスで軽くお食事。近況を報告し合っていたら、日にちが変わっていた!慌てて帰宅後、旦那さんまじえて「どうもどうも」とお茶飲んでいたら、今度は浦沢漫画談議で盛り上がり、寝床に入ったのが深夜3時前。わお。

土曜日はキャプテンEOを見たいということでディズニーランドへ。何年ぶりだろう?アトラクションに乗るために30分以上は並びたくないなんて言ったら、王国の住人のみなさまに叱られるかもしれないけど、ここは体力温存を優先。そんな根性なしでありながら、FPで見たEO以外にも結構乗れたのでなかなかよかったんじゃなかろうか。ジャングルクルーズも船長のすぐ横に座り、クルーを盛り上げるのに一役買えたと思うし。ただ、ミッキーをお見かけできなかったのが残念。

夜は旦那さんも合流してお好み焼き屋へ。昨晩の浦沢漫画談議に続き、今度は豆談議に花が咲いた。お恥ずかしいけれど、私、枝豆が大豆って知らなかったんですよね。枝豆用の豆があると思っておりまして…。そこから、みつ豆の豆はなんやねんとか、大豆ってすごすぎるとか、お好み焼き食べながら、豆、豆言うてました。おもしろかった。

日曜日は谷根千散歩。お昼ご飯を食べようとチェックしていたお店が休みだったり、開店前だったりしてガックリ。なんとか見つけたとんかつ屋さんに入ったら、今度はお店のおばちゃんにえらい冷たい対応されて(なんも悪いことしてへんのに!)と悲しいこと続き…。でも、そのあとに行った着物屋さんでとびきりの出会いが!一目ぼれして大正ロマンなお着物を買ってしまいました。「買う!」と思い切ったのは、とんかつ屋のおばちゃんに冷たくされた反動か。もう、とてつもなく気に入ってしまったので、早くこの着物でお出かけしたいもんだなあ。早くあったかくならんかなあ。

とても気に入った着物

少し歩いて、旧吉田屋酒店で半纏着て帳場で働いたあと(上の写真参照)、カヤバ珈琲の二階の和室にて珈琲タイム。少し歩き疲れたところに和室の落ち着き。襲ってくる眠気と戦いながらの珈琲タイムとなった。着物における先輩でありますひっそりさんに、さきほど買った着物に合う帯やら小物についてさすがのアドバイスをもらう。えっちらおっちらと歩いて日暮里駅に戻り、ここでお別れ。

いろいろおしゃべりしてゆったりといいペースの3日間。いつかお着物デートできる日を楽しみにしていよう。また、ぜひぜひ遊びに来ておくんなまし〜。

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やみ鍋の会

浅草寺子屋にて吉原遊郭について勉強。新吉原の見取り図や遊女の1日の過ごし方などなど面白い話しをたくさん。郭噺を聞くときにイメージしやすくなったかな。

その後、「ヤミ鍋の会」を見に経堂まで出向いた。

やえ馬さんは「初天神」。
寅ちゃんの「あれ買うて、これ買うて」のおねだり攻撃になぜか毎回、「買うてあげえな」と加勢してくる他人のおばちゃんがおもしろかった。「蜜のつぼにどぼんとつけて、ああみっともない。あんな父ちゃん連れてくるんやなかった」の団子サゲ。

瓶ニさんは「ちりとてちん」。
白菊というお酒をいただくくだりが大好き。クイクイクイ、「くーっ、美味しいでんなあ。美味しいお酒というんは、呑もうとせんでも向こうからツツツーっと勝手に入ってきまんな。呑みながら『もうそんな何をしまんねん』て思いましたわ。」

歌橘さんは「粗忽の釘」。
あ、打ち上げのときに「次のネタ候補にどうですか?」とアドバイスもらった噺だ。タイムリー。
-粗忽者の八五郎がカミさんに「箒をかける釘を打って」と頼まれた。で、打ったはいいけどえらい長い釘を壁に打っちゃった。「なんちゅうこと!隣の家の壁に突き抜けてしまったんじゃ!」とカミさんに叱られて隣の家へ確認に行くことに。なのに、そこは粗忽者の八五郎、カミさんに怒られたことをブツブツ話しながら歩いてたら向かいの家に行っちゃって「馬鹿にすんない!」となぜか怒り散らす。そんなこんなのすったもんだしてようやく隣の家にやってきて、「とにかく落ち着かなきゃなんねえ」と悠々たばこ吸ったりしていたら落ち着きすぎて、自分の結婚の成り行き話して帰ろうとする。「あんた、一体何しに来なすった?」-
「ここまで箒をかけにこなくちゃならねぇ」でサゲ。愛すべき粗忽者~。おもしろい~。上方では「宿替え」という題なんだそう。あ、歌橘さん、最初は置いていかれそうになったけど、途中からどんどん噺に吸い込まれていった。不思議な魅力がありました。

三四郎さんは自作落語。
息子が落語家であることを隠そうとする母と息子のやり取り。大阪の人ってそんなノリ!そんなノリ!おもしろかった。そして、三四郎さんはさわやかさんだった。

方正さんは「阿弥陀池」。
あー、手水廻しじゃなかったー。阿弥陀池は落語家になって初めてやった噺なんだそう。だから、とても緊張する、と。
うまいこと騙されてしもた男が、おんなじこと誰かにやったるねん!って勢いづいたんはいいけど実際はうまいことゆかず、なんでこうなるのん?というよくある展開。好き好き。中だるみしかけたところを表情やアクションでグイグイっと持ち上げて、再びお客さんをのせていくあたりはさすが!最後、嘘やねんってバラすところのオドオドぶりが最高だった。

残念ながら方正さんの「手水廻し」は聞けなかった。なんかもう、もっかい聞いて確かめないと落ち着かない感じになっとります。東京でも『俺のちょうずを聴けっ!~四者四様‘手水まわし’の競演~』やってくれないかなあ。熱望だなあ。エンディングトーク「これからの『手水廻し』」に参加させてもらいたい(笑)。

「第7回 やみ鍋の会」さばの湯にて
鈴々舎やえ馬「初天神」
笑福亭瓶二「ちりとてちん」
三遊亭歌橘「粗忽の釘」
桂三四郎「新作落語」
月亭方正「阿弥陀池」

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笑いながら立川

去年、志ら乃さんのブログで大笑いした記事、談笑さんのお弟子さんの名前をどうするかという話。「『立川』を笑いながら言う」ってなんて斬新!と大笑いしたんだった。

そのお弟子さんは結局「立川吉笑(きっしょう)」という名になったようで、「なんだー、笑いながら立川じゃないのかー」とちょっと残念に思ったり。その吉笑さんのブログがなんだか面白い。前座修業の様子を垣間見れる面白さと、あとなんか、本気なのか計算なのかが分からない真面目さが面白い。

一番最初の記事のブログのタイトルを決めるまでのくだり(ちっちゃい字の段落)が面白くて電車の中であやうく笑い声を出してしまうところだった。

吉笑さん、近いうちに落語を聞ける機会があるといいな。

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ねぎま鍋打ち上げ

「新春!するっ亭一門会」ねぎま鍋打ち上げ。場所は浅草の「一文(本館)」。
ねぎま鍋は初めて食べたけれど、まぐろはパサパサした感じはなく柔らかくて美味しいし、お出汁が染み込んだ千寿ねぎがこれまたとても甘くて美味しかったー。

これにて一旦区切り。初高座を予想以上に楽しくできたもんだから、「するっ亭面白かった。たけのこ練習通りに出来た」としつこくいつまでも言ってたのだが、そろそろ打ち止めにしないと本気でうっとおしいみたい(笑)。これからは一人でこっそり思い出し笑いすることにしよう。

次回もお声かければやっていただけそうな感じなのでよかった。初高座は5分ほどの短い噺だったけど、次回はもう少し長いものにトライしてみたい。今時点ではネタ候補は一つもないので、いろんな寄席に行ったり、動画見たり、CD聞いたりして、じっくりとたくさんインプットしようと思う。上方の噺家さん!東京でいっぱい落語やってください!

ほんとはネタ候補として「手水廻し」を上げたかったのだけど、打ち上げの場で先輩方に「登場人物が多いし、状況をちゃんと把握してもらわないと笑いどころが分からないから、とても難しいのでは」というご意見をいただき、ちょっとしょんぼり。

いやあ、1月に5656会館で見た方正さんの「手水廻し」が衝撃の面白さでどうしても頭から離れないんですよね。落語であんな呼吸困難になるほど笑ったのは初めてだったし。愛すべきしょうもなさがギュウギュウに詰まっていて、もう心奪われっぱなしなんです。

何とは無しに「月亭方正 手水廻し」でググってみたら、林家染弥さんのブログの記事がヒット。なんと!去年の12月に『俺のちょうずを聴けっ!~四者四様‘手水まわし’の競演~』(月亭方正、桂かい枝、林家染弥、笑福亭由瓶) という落語会があったそうで!手水廻しばっかりって! うわー、見たかったなあ!場所が大阪だから、知っていても行かれなかったけれど…。オープニングトークは「『手水廻し』を熱く語る」、そしてエンディングトークは「これからの『手水廻し』」ですって。これからの『手水廻し』ってなに(笑)。

染弥さんの記事を読んでいると、「『手水廻し』は気分が悪くなるから嫌い」という声をよく聞くとあるけど、どの部分で気持ち悪くなるんだろう?たらいの水を飲むところかな?とにかく、好き嫌いが分かれる噺なんだなあ。あんなにもおもしろいのに。

あ、なんか気付いたら「手水廻し」のことばっかり書いてる。夢中すぎやなあ、私。このへんで終わりにしとこ。

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梅を見に行ったら

今日は少し電車に乗って梅を見に行った。写真を撮っていたら、後ろから声が聞こえたので振り向いたら、初老の男性とそのお母様と思われる車イスに乗ったお婆さんがいらした。「梅が綺麗だね。」と男性がお婆さんに言っていたので、シャッターを押してあげようと「梅をバックにお二人の写真を撮りましょうか?」と声をかけた。男性が「それはありがたい!でも、カメラを家に忘れてしまって…。もしよかったら、お持ちのカメラで撮った写真をメールで送ってもらえませんか?」と半分懇願するようにおっしゃるので、何か事情があるのかしらと思いつつ、「いいですよ!撮って送りますね!」と3枚の写真を撮った。

帰宅してすぐに3枚の写真を添付して、男性にメールをした。そうしたら、30分もせずに写真を受け取った旨のお返事がきた。お返事の後半には「母は結婚して以来、ずっとこの土地に住み、ここは人生の舞台そのものでした。母は来週、訳あって遠くへ引っ越しするので、もしかしたらもうこの土を踏めないかもしれないと思いながら、梅の花を見ておりました。」とあった。

そんな思いで歩いてらっしゃったのか…。私が写真を撮ってあげた後、二人の女性が駆け寄ってきて「ああ!久しぶりに会えてよかった!次、いつ会えるか分からないから!元気でいてね!」とお婆さんの手をずっと握って言っていたのは、そういう理由があったからなんだ。

「写真撮りましょうか?」と声をかけて本当によかった。私が撮った写真をあんなに喜んでくださって、「私のへっぽこ写真も役に立つことがあるんだな」と私のほうがお礼を言いたいくらいの気持ち。お婆さんが新しい土地でおだやかに過ごせるといいなあ。

こたろう君
こたろう君。可愛すぎた。

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ほわっほわのコッペパン

森見會御用達の喫茶店にてドングリさんと「新春!するっ亭一門会無事終了を労い合う会」。お互いに「よくやったね!」「よくやったよ!」と褒め合う小一時間。おめでたきことです(笑)。「次はどんなネタやりたい?」「ファンタジー要素多めのがやってみたい」「愛嬌あるアカンたれが出てくるのがやってみたい」などなど第2回もすっかりやる気。

その後、リーダーも合流して、今年初めての大日本森見會会合。春の遠足について盛り上がった。次から次へとあふれ出すくだらなくてロマンあふれるアイデア。これはスペシャルな遠足になりそうだ!ほわっほわのコッペパンが合言葉。

それにしても、森見さんの新刊について話したのはほんの5分くらいじゃなかろうか。これでいいのか、森見會。これでいいのだ、森見會!あ、新刊面白いです!

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人呼んでフーテンの寅と発します

「講談から学ぶ江戸しぐさ」という講座を受講。講師は講談師の宝井琴柑さん。お若くて可愛らしい感じだけど、しっかりと丁寧な説明で聞きやすかった。

まずは江戸しぐさのいくつかを時代背景とともに紹介。「傘かしげ」「肩引き」「こぶし腰浮かせ」などなど。江戸しぐさは商人の間で、商人対商人、商人対お客さん、いろんな場面でお互いが気持ちよく暮らせるコツとして生まれたんだそう。

歌舞伎や人形浄瑠璃など町人から生まれた文化がたくさんあるという話しも。江戸の街の町人たちはとてもパワフルだったのね〜。江戸の町人たちは「人間一生、物見遊山」と言って、『生まれてきたのは、この世をあちこち寄り道しながら見物するため。いろんな物を見て、見聞を広めて友だちを増やし、死んでいけばいい』と考えていて、物ではなく楽しい時間に価値を置いていた。だから、歌舞伎や相撲を見物したり、吉原や向島に行ったり、よく遊んだんだそう。さぞかし活気にあふれていたんだろうなあ。

おっと、江戸しぐさの話に戻して。最後は「人と接するときには、一呼吸おいて相手を思いやることで、お互い嫌な思いをせず、気持ちよく過ごせるんじゃないでしょうか」とまとめてらっしゃった。

つぎに体験「啖呵を切る」のコーナー。私の思っていたのと違った。「てやんでえ!べらんめえ!」ではなかった。香具師(やし)が品物を売る時の口上(バナナの叩き売りとか)も啖呵というんですね。

ということで、フーテンの寅さんの口上をみなさんで読み上げてきた。

「私、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します。」から始まって、「焼けのやんぱち、日焼けのなすび、色が黒くて食いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯が立たないヨときた。」と続く。

まさか「名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」なんてやると思っていなかったから、ツボにハマってしまってだいぶん楽しい気持ちになってしまった。私はその気になって思い切り言いたかったのだけど、やはり周りの方々に合わせて、控え目に囁くようにしか言えず。でも、参加者のみなさん「四百、三百、百両だ。どうだ!」の「どうだ!」のとこは結構気合い入ってて、ほんとはもっと思い切ってやってみたいって思ってるのよねと思った。絶対家でやってみてると思う。

最後は講談を一席。演題は「夫婦餅」。両国で玉川屋を営む夫婦。相撲道楽の旦那のせいで店もつぶれてスッカラカンになった。元芸者の妻が以前出ていた郭の旦那が、その状況を見かねて、新たに店を出す軍資金をくれた。なのに、玉川屋の旦那、巡業帰りの相撲取りたちとバッタリ出会い、祝儀にと軍資金をあげてしまう。事情を聞いた郭の旦那が、祝儀を返してくれるよう横綱に頼むが「一度受け取ったものはわしのもんじゃ」と返してくれない。事情を話しても返してくれないなんて、「金の切れ目が縁の切れ目かい」と嘆く。見返してやれとまた軍資金をもらって、餅屋を華々しく開店。そうしたら!横綱たちが開店を祝うべく大盛り上がりでやってくる。「何しにきやがった!」「いや、だんなさま、聞いてください。いただいた祝儀をそのまま返してしまえば、だんなさまのメンツが立たない。苦しかったけど返さなかったんです。これは、開店のお祝いです」と祝儀にもらった五十両を渡した。で、餅屋は大変繁盛しました。というお話。

相手への思いやりがしみる人情噺でございました。そうそう、私はこれが初講談だったのですが、張り扇でタン!と釈台をたたくのが小気味よく、餅屋の開店を祝うべく横綱たちがやってくるシーンは、とても賑やか華やかで、私の気分も大いに盛り上がった。

この講座にもんさんもいらしていたので、帰りに落語談議を少々。興味深かったのは、お客さんが「おもしろかった!楽しかった!」って思うのは、その場が楽しい空気になっていたかということだなあという話し。いい空気が出来ていると、落語自体は噛んだりトチッたりしても全く気になりませんね、と。

「ああ、分かります!やっぱりあの楽しい空気を味わいたくて寄席に行きたいって思いますもん!」という話の流れで、「そんなわけで、もんさんからお借りしている志ん朝DVDボックスの返却が遅れているんですー。」と思わずお伝えできて、私はちょっと安心した。そうなんですよねー。一人で家で落語見てても、冷静に見て終わっちゃうんですよね。やっぱり寄席でたくさんのお客さんと一緒に見るのがいい!

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